PTA退会で校長室に呼び出し? PTA論争勃発[AERA 2014年4月7日号]
(更新 2014/4/ 2 07:00)
子どもをもつ親にとって、時に負担となるPTA役員の仕事。アエラ3月3日号では、じゃんけんやくじ引き、ポイント制などによってPTAの役職を強要される実態を取り上げた。事情がある人も免除しなかったり、できない理由を公表させたりと「人権侵害」ともとれる対応が常態化しているPTAもあった。編集部にはメールなどで多くの反響が届いた。その中には、役員決めだけでなく、PTAの活動そのものを疑問視する声もあった。
鹿児島市に住む岩元美紀さん(40)は昨年4月、次女の小学校入学と同時にPTAに退会届を出した。高校生の長女の時の経験から、役員選びの煩わしさに疲れ切っていたからだ。すぐさま校長室に呼ばれ、校長から非難された。
「道義的に問題がある。他のお母さん方に説明してください」
どうにか退会届は受理されたものの、今度は、「非会員の子どもは夏休みのプールには保護者同伴でなければ入れません」と担任から連絡がきた。PTAの母親たちが当番でプール監視をしているため、非会員の子どもの監視はしない、というのだ。当時は3人目の妊娠中で臨月が近く、県外出身のため頼れる親戚もいない。炎天下のプールサイドに立てるわけもなく、途方に暮れた。バザーのチケットや集団下校をめぐっても「仲間外れ」のような扱いを受けた。
「PTAは全児童のために活動するボランティア団体のはずなのに、親が非会員であるという理由で子どもを差別するのはおかしい。私の周りはPTAが任意加入であることを知らない人ばかりで、誰も助けてくれません。私一人でも任意加入の周知活動をしていこうと思います」
一方、新年度にPTA役員を務める東京都の会社員女性(40代)は、PTAの意義を訴える。
「任意加入で参加率が低くなってしまったら、果たして意味があるのでしょうか。PTAがなくなってもいいのでしょうか」
女性は無記名の指名によって役員の候補に選ばれ、「半ば強制的」に役員決めの会議に呼ばれた。子どもの学年が異なる保護者約30人がグループに分かれ、お茶とお菓子が配られた。子育てや学校の話題で盛り上がり、役員選出の場であることを忘れていると、誰からともなく「今年やろうかな」「それなら私も」と声が上がった。
「悪名高きPTAの噂を聞くたび、働いているから無理、と恐れていたのに、こんなにアットホームだったとは。せっかくの機会だから仕事もPTAも楽しみたい!と思い立ちました」
※AERA 2014年4月7日号より抜粋